2009年2月28日(土)午後2時から、北京市の長富宮飯店にて、北京日本人会と北京日本文化センターの共催で、シンクロナイズトスイミングの井村雅代コーチの講演会を実施した。当日は、350名あまりの聴衆が来場し、会場はほぼ満席となった。中国国家水泳センター水球シンクロナイズトスイミング部主任の愈麗部長も駆けつけた。講演内容の一部をご紹介する。
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私は、2006年に中国水泳協会からコーチ就任要請があった際、失敗の許されないオリンピックで、中国はなぜ日本人の自分にコーチを頼むのか考えた。考えた末、中国シンクロのリーダー達は、シンクロ日本チームの活躍を見て、中国チームもあのようにしてほしいと思ったから、自分にコーチを依頼したのだと解釈し、アジアの隣人である中国の頼みを断るわけにいかないと思い、引き受けることにした。
よいシンクロ選手の条件は何かとよく聞かれる。足が長いことや体が柔軟なことなど条件を挙げれば挙げられるが、本当に大切なものは「心の才能」であると思う。困難に突き当たっても諦めず、自らの力を信じてがんばり続けることのできる能力である。人間には限界はない。限界という枠をはめてしまっているのは自分自身である。
つらい練習に耐えて努力をし続けるためには、目標が必要。それも大目標だけでなく、日々の小さな目標が必要。私は「1ミリの努力」という言葉が好きだ。垂直跳びを3ヶ月後に10㎝高く飛べと言われても、飛べる自分を想像できないが、明日、今日よりも1㎜高く飛べと言われれば、飛べるような気がする。そうやって日々の小さな目標をクリアしていくことが大事だ。
中国滞在中、もっとも印象に残った大きな出来事は、四川大地震の発生と胡錦涛国家主席との面会である。中国ナショナルチームには3人の四川省出身の選手がいた。彼らは5月12日の地震発生後、甚大な被害を受けた故郷の映像をテレビで見て、ショックのあまり練習が手に付かなくなってしまった。私は自らも阪神淡路大震災に遭遇した体験を語りながら、選手達にオリンピックの試合でよい成績を残すことで四川の人々に希望と喜びを伝えることができるはずだと励まし、練習を続けた。また、胡錦涛主席が直接、練習場を訪れると聞いたときには驚いたが、選手達にもよい刺激を与えると思い、お迎えした。主席が私に対し、率直に感謝の意を表していただいたことに、たいへん感銘を受けた。
日本人は、本当に辛抱強く、粘り強く、集中力がある。中国の人は前に向かってよくなろうとする意欲、向上心が非常に強いと思う。日本人と中国人はお互いに学び合うところがたくさんある。お互いに中国の「本当」、日本の「本当」を知るべきだと思っている。真の交流を深め、手を取り合うことによって、アジアから世界に大きな発信が必ずできると思っている。
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後半は、中国国際放送局の王小燕さんに聞き手として加わっていただき、フロアからの質問を受けながら、対談形式で進めた。フロアからは活発な質問がよせられ、井村氏も滞在中に覚えた中国語を披露するなど、なごやかな雰囲気でプログラムは進み、午後4時半頃に終了となった。


