毎年この時期には新しく北京での生活を始められる方々に何か役に立つ話を…と考えつつ、結局いつも他愛もない話で終わってしまうのですが、今年こそ!と、実は小さなお子さんを連れてこられる方のために、乳幼児予防接種の話を考えていたのですが、先日、フリーペーパーのコンシェルジュさんから「北京生活の基礎知識」と題して、北京生活を始めるにあたって注意すべき点についての取材を受けた際に予防接種の話をしてしまい、これが立派な記事としてわかりやすく紹介されるようですので、ここでは見送ることにしましょう。
というわけで、また今年もいつもどおりの他愛もない話で新生活者をお迎えすることになってしまいました・・・
この春から初めて中国に来られた方はまだ実際に体験したことないでしょうが、中国の新年は「春節」と呼ばれ、旧暦で行われるので今年は2月でした。一年で最もお祝いムードが盛り上がる時期で、すでに1ヶ月も前からみんななんだか浮き足立ってるのが外国人の私たちにも伝わってきます。スーパーやデパートはかき入れ時となり、お客で混雑した売り場は夕食のおかずを買うのも一苦労なほどです。この頃から町中にはにぎやかな正月飾りが目につくようになり、「新年快楽」の文字や倒福(「福」の漢字を上下逆さまにしたもの)の張り紙があちこちに見られます。 ほとんどの装飾品の色は中国でめでたい色である赤、黄、金ですから、中国の新年は私には赤金色なイメージですね。
そしていよいよ新年が近づくとあちこちで爆竹の音が聞こえ出します。大晦日の夜ともなると爆竹と花火の連発でテレビの音も聞こえなくなるほどのにぎやかさです。銃声や爆弾テロが盛ん(?)な中東から赴任した私は、この音でとても新年を祝う気持ちになれなかったのですが、最近は少し慣れてきた気がします。しかし、その裏で毎年必ず不幸な惨事も起こっています。爆竹や花火による火事や死傷者です。一年前の春節では、北京中心地の超高層ビルが丸ごと焼けてしまいました。そりゃそうでしょう。花火は日本で言う何尺玉というような本格的な花火が道ばたから打ち上げられ、爆竹といっても小さなダイナマイト(発破)くらいの大きさのものが束になっているのですから。爆竹は、その音で厄を払うために鳴らすのだと聞いたことがありますが、こんな建物が密集したところでの発破作業は、どう考えても厄を呼んでしまうのではないかと毎年心配になります。大晦日(この言葉は本来「31日」という意味だそうなので、ここではあくまで「新年前日」のつもりだとご理解下さい)の夜に幹線道路の高架を車で走ると、日本の花火大会では特等席でも味わえない、間近で花火が炸裂するという貴重でスリリングな体験ができます。アパートでも10階くらいなら、ほぼ同じ目線で花火が開き、窓には花火のかけらがぶつかるという、これまた日本ではあり得ないハプニングも目にすることができるかもしれません。
春節が終わって街が落ち着き始めても、まだあちこちで新年を祝う提灯や張り紙を目にすることができます。車にも縁起の良さそうなステッカーをたくさん貼っている車がいます。つい先日、車を運転して出勤の途中、私の前に一台の車が突然無茶な割り込みをしてきたため危うく衝突しそうになりました。とにかく中国では、十分な確認もせず、自分の行きたい方向だけを目指すドライバーが多く、事故は減る由もありません。特に中国初心者の方は日本では常識でも、ここでは通用しないこともあると十分肝に銘じ、事故の被害者にならないよう気をつけてください。私の前に割り込んできた車の後ろの窓には新年の大きなステッカーがまだ貼られてあり、赤に金文字で「萬事如意」(全ての物事が思うようになりますように)と書かれていました。いや、いくらなんでも自分勝手すぎる・・・。
なお、このコラムでは、なかなか個別に応じて差し上げることができない在留邦人の方の健康相談の窓口としても、皆様からの御意見、御質問を受け付けたいと思っております。残念ながら全てにはお応えできませんが、できるだけこの紙面をお借りしてお応えしたいと思いますので、下記アドレスまで御遠慮なくメールをお送り下さい。 medical@eoj.cn
また、このコラムは、医務官が北京で暮らす中で、あくまで一人の日本人医師の目線で日々感じたことを書き綴ったものであり、大使館としての公的見解や方針とは何ら関係ありません。